(1)クエン酸アラカルト
●クエン酸とはどんな食品!

クエン酸とはどんなものか、ご存知ない方もおられると思いますが、日常食べる梅干し(1個に1g のクエン酸)やレモン(1個に4gのクエン酸)に含まれている酸味のもとですよ、といえばおわかりいただけるでしょう。
私たちが古来から親しんできた柑橘類には、このようにクエン酸が含まれており、健康食として利用してきました。
クエン酸は最高においしい酸味で、食品のかくし味や私たちの健康に役立つ重要な食品の一つといえるものなのです。
クエン酸はれっきとした日本語で、戦前では漢字「枸櫞酸」を使っていました。英語ではCitric acid、ドイツ語ではCitronen saureです。
クエン酸は食酢と違って無色または白色の結晶性の粉末です。水やアルコールに溶けやすく、クエン酸を99.5%-102%含む純度の高いものです。時間がたつと次第に結晶水がなくなり、氷砂糖状の107%の無水クエン酸となります。乾燥空気中では結晶水を失って風化し、湿った空気中では、徐々に空気中から湿気を吸収し、溶けて溶液になる現象(潮解といいます)があります。無水クエン酸や潮解したクエン酸の効果は変わりません。
クエン酸は蒸発しない酸ですから、つんとくる味ではありません。加熱しても後に残るものですから、ケーキなどいろいろな食物のかくし味に使用されています。
クエン酸の酸度は弱いものです(胃液に分泌される塩酸の1/180、食酢に含まれる酢酸の1/3)。化学記号のCOOHが有機酸(炭素を含む酸、酢と考えてよい)で、酢酸は一つですが、クエン酸は三つあります。これはクエン酸は酢酸の3倍の内容があって、酸度は1/3であることを示し、初めにあるHO は甘味を出します。

●食酢に含まれている酢酸はクエン酸になる

私達がよく料理に利用する食酢には、主成分として4-5%の酢酸が含まれています。酢酸は酸味としてはかなりするどい味であり、鼻につんときます。つんとくるのは、酢酸が非常に蒸発しやすく、低い温度でも気体になるためです。口に入れた食酢の中の酢酸は、すぐに蒸発し、酸の気体としてノドなどを刺激するからつんとくる感じになります。
この酢酸は、体内に入るとクエン酸になって働いています。食酢には酢酸のほか、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等が含まれているので、図のクエン酸サイクルの一員として、サイクルを助ける部分が大分ありましょう。

●酸っば味を欲しかるのはなぜ!

ふだんはそれほど酸っばいものが好きでもない人でも、疲れたときには酸っばいものが食べたくなるものです。
妊娠した女性が酸っぱいものを欲しがるのは、なんとかいつも、正常な状態にしておこうとする、身体の知恵が働くからなのです。
夏の暑さにまいってしまって、あまりしつこいものは食べたくない。さっばりした酢のものが食べたくなるのも、身体が自然に要求するからです。
このような経験は誰にでもありますが、これは酢の持っている酸味の清涼感からばかりでなく、身体が酢を欲しがっているためでもあります。
昔の人は、長い間の経験から、生活の知恵として、酢の摂り方を工夫していたのです。

●クエン酸サイクルとは

クエン酸サイクルを理論的に裏付け、証明したのが、ノーベル賞を授与されたイギリスの学者クレブスのクエン酸サイクル説です。私たちが食するでんぷん、蛋白質といった食物から消化された栄養分がクエン酸サイクル(下図参照)にのって円滑に循環するというもの。つまり、クエン酸を摂れば、人間の健康に最も大切なサイクル運動が得られ、体がすっきりし、健康維持、増進に大いに役立つというわけです。
クレブス博士のこの学説により、クエン酸を含んだ健康食品は、アメリカやヨーロッパを始め、世界中で飲まれるようになったのです。
最近では、医薬業界でもクエン酸を使用した製剤が登場しています。